春と桜並木と思い出

a little cherry pink.

桜が咲いている。
家の近くの井の頭公園の桜も咲いていた。

春の花が咲いたということで
季節を改めて感じる。

4月になったからとか、
新卒が入ってきたからとかではなく、
桜が咲いたから春を感じるんだ。

今日は雑記。


桜が咲く頃に必ず思い出すことがある。

大学生の時に一時期八王子に住んでいたことがあって、
その頃にいつも原付で通る道があったのです。

高尾街道にぶつかる川沿いの道なんだけど、
そこが車は進入禁止で、
自転車と原付と歩行者のみ歩ける道があったんです。


ちょうどその車が進入禁止区域となっている
川沿いの道に桜が咲いているのです。
川にそって長い距離。


春になると
原付に乗って通学中は
その桜を見ながら
学校に行っていた。

風が強い日は
桜吹雪の中を
風とともに走った。



しかし、大学の卒業と共に八王子から離れ、
その道を通ることもなくなった。

あの道には数年行っていない。

自分の頭の中にある春の思い出といえば、
その桜並木道を風と一緒に原付で走ったことだ。

どんなにつらいことがあっても、
その桜を眺めていたら、
気持ちが晴れたし、
桜を見ているだけでも幸せな気持ちになれた。



そのことを思い出して、
Google Mapでその道を見てみると、
大きく変わっていた。

車が進入禁止だったが、
きちんと道が整備され、
車が通れるようになり、
信号までできていた。

悲しいことに、
桜の木の数が減っていた。


僕の思い出の場所はもうあの場所にはない。
春になると、桃色に染まっていく道はもうないのだ。


胸が苦しくなった。
切ない気持ちになった。

思い出というものが
どこかでなくならないと思っていたが、
現実の中にある思い出の種がなくなるのを
まざまざと見せられると悲しい気持ちになる。


記憶の中にあるとは言え、
あの道の桜はもう咲かない。

僕の知らない時間の流れの中で散ってしまったのだ。



桜を見ると思い出す、
あの桜を。

春が来ると思い出す、
あの桜を。


思い出は常にここにある。
思い出の上に僕の桜が咲いている。


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