your heart shape box

heart shaped box
photo By Janesdead

綴る。
訳あって、
こういうスタイルで
書くので、
ご了承を。



何かを追いかけてきたのか。
ふと立ち止まることも許されなかった時間を走ってきた。

君はどこへ向かおうとしていたのか。
疲れただなんて言うことももったいない時間を走ってきた。




大切なものを
何かのきっかけで
失ってしまったり、
置いてきてしまったり。


その度に、心の中にあるものを入れ替えてきた。


時には友だち、
時には家族、
時には恋人。

時には夢。
そして、
小説に書いてある言葉を
入れたこともあった。



心の中に
大切だと思ったものを。
必要だと思ったものを
入れて走り始めた。


きょろきょろと周りを確かめながら
戸惑いながらの歩調は
いつの間にか「迷いのない」という言葉が似合ったものに。


心にあるものは
自分の足で大地を踏み出す度に
からんからんと音を立てる。
その存在自体が鳴らすように。


でも、走り続けていた君の心からは
いつの間にか音は聞こえなくなって。




目の前にある光景を踏み出すことと
息をすることが残って。

心にしまったものなんて忘れてしまって。


誰かが呼び止めても、
その足並みを止めることもなく、
緩めることもなく。


「何のために」なんて言葉が
息切れしながらも進もうとしている
君の頭の上に浮かびだしたよ。

自問自答している姿を
休んでいるんじゃないかなんて思われたくないって
周りを気にし始めた君の目にはうっすらと涙が。



しばらくして
君は歩みを止めて
倒れてしまった。


倒れ込んだ君の顔からは
止めどなく汗が噴き出て、
苦しそうに悶えている。


助けたかったんだよ。
いつの間にか走ることしかできなかった君のことを。



倒れ込んだ君の
小箱ぐらいの大きさの心をのぞいたら、
内側にシールが張り付いていた。

でも、そのシールにはなんて書いてあるかわからなかった。


「君はどこに向かって走っていたの?」


その問いに君は答えるよりも
新鮮な空気を求めるだけだった。






大事なものが入らない、
大事じゃないものすらも入らない心を抱えた君は
今度は何を失ったんだろうか。


失ったものさえも
失ってしまったのかな。




いつの間にか君は
目を閉じて、
穏やかに、
赤ん坊のように眠りに就いた。


何日も目を覚まさない君。


目を覚ました時に
聞きたいことがあるんだ。


「今度はまず心に何をしまおうか」


君の答えを僕が覚えていてあげるから。